Panasonicを分社化した理由は?
スピードこそが企業の生命線。
迅速な決断が、新たな価値を生む。
CEO
それでは、さっそくどうぞ(笑)
若手社員
Panasonicという大企業を「分社化」する狙いって、何ですか?
CEO
そもそもPanasonicって、家電から電池、クルマまで、何でもやってるイメージだよね?でも今、世の中のスピードがどんどん速くなっていく中で、いろんな事業を抱えたこれまで通りの“大企業”だったらこの先どうなると思う?
若手社員
時代に…ついていけない気がします。
CEO
まさにそれ。そこで本体を事業特性に応じて分社化し、各分野のエキスパートに権限を与えることで、時代が求める課題解決に対してスピードを上げていこうと。
若手社員
なるほど…。確かに上司の方と話しても、判断の速さに驚きます。
CEO
そう。それが狙い。大企業にありがちな会議のための会議もなく、その瞬間、瞬間で一人ひとりが判断できるようにする。みなさんの声も反映されやすくなっているはず。でも一方で、“分社しても変えたくないこと”もあるんです。
若手社員
何ですか?
CEO
世の中に対する“お役立ち”を、僕らが「先頭を切って」生み出すこと。そのためのイノベーションを世界で最初に起こせるように努力し続ける姿勢は、これまでのPanasonic同様、変わりません。
若手社員
なるほど。
CEO
特にエナジー領域は、要求の変化が激しいジャンル。だからこそ最適なタイミングで、最適な領域にリソースを集中し、スピードをもって世界に貢献していくことが、とても大切だと思います。
若手社員
入社1年の僕でも、変化を感じます。
CEO
これからは、変化に適切に対応できる人を、様々な階層やポイントに配置できる企業が勝つ時代。そんな人材に、成長してくれたらありがたいし、そうなれる環境を僕らもつくっていくつもりです。みなさんには会社員というよりも、一人のエナジーのプロとして、自らの能力を磨いていってほしいと思います。
若手社員
がんばります。
CEO
ま、「やるしかない」よね(笑)。
働き方や給与体系はどう変わる?
働き方を自由に選べる。
そんな環境を一緒につくっていきたい。
若手社員
働き方って、Panasonic時代と変わるんですか?
CEO
変わるというか、「変わらざるを得ない」という言い方が近いかもしれない。
若手社員
と、いうと…?
CEO
今って、どんどん幸福感や価値観が多様化してるじゃない?なのに働き方だけ「決まった時間」「決まった場所でやる」っていうのは…
若手社員
時代と逆行してるような気がします。
CEO
だよね。だから今、時間も場所も働き方も、自由に選択できる職場にするために、現場の意見を参考にしながら変えているところ。もちろん全拠点。やっぱり自分たちの職場は、自分たちでつくった方が良いじゃない?
若手社員
実は私、オフィス委員会のレイアウト担当なんですけど、メンバーのいろんな意見を聞いて作り上げている真っ最中です。
CEO
もう、好き放題やっちゃってください(笑)。
若手社員
メンバーに伝えておきます(笑)。
CEO
一方で、オフの時間も大切にしてください。オフが充実しているからこそ会社でも集中できるし、オフを楽しみたいモチベーションは、仕事の効率を上げる、と僕は思う。
若手社員
今のところ、完全定時退社日もあるし、仕事とプライベートの両立ができているなと感じます。
CEO
何なら思いっきり遊んでから会社に来てもいいです。今度そんな制度、作っちゃおうかな(笑)。
若手社員
お願いします(笑)。あ、あと…
CEO
何…?
若手社員
お給料って変わるんですか…?
CEO
(笑)まぁ気になるよね。もちろん給与をはじめ、処遇についてもパナソニック エナジー独自でしっかり検討しています。基本は、減点ではなく加点方式。加点対象は、結果ではなくチャレンジすること。
若手社員
挑戦を評価するということですか?
CEO
そう!エナジー領域は、リスクを恐れては前に進めない。だから僕としては、世の中の大きな不確実性に対して、果敢に挑戦した人には、インセンティブのような形でしっかり報いていきたいと思う。
若手社員
わかりました!どんどんチャレンジしていきたいと思います!
他カンパニーとの関係は?
会社も社員も独立心が大事。
世界に出るチャンスを増やしたい。
CEO
さぁ、次は何でしょう?(笑)
若手社員
Panasonicの他カンパニーとの関係は、どうなりますか?
CEO
意志決定など、攻めの領域については法人としての独立性を持たせます。一方でPanasonicとしての価値観や人の流れなどについては、ある程度担保したいと考えています。例えばPanasonicの大きな枠だからチャレンジできることもあるわけで。
若手社員
社内公募制度の「eチャレ」ですよね。興味があります。
CEO
あとPanasonic以外の人達との交流も、他のカンパニーより積極的に推奨したいなと。自分たちだけの常識を作らずに、世の中をつねに肌で感じてほしいから。
若手社員
なるほど。
CEO
コロナの状況もあるけど、若手にはグローバルにいろんなことを経験できるようにしたいね。とにかく「かたまるな」と言いたい!
若手社員
私の周りにも「海外に行きたい」という学生が、本当に多いです。海外で知識や価値観を増やしたいという気持ちは、みんなあると思います。
CEO
僕が20代でエンジニアをしていた頃、3カ月に1回くらいヨーロッパを回っていたことがあります。
若手社員
そんなに…!
CEO
自分で設計して、材料も開発して、データとったら、すぐに「行ってきます」と飛行機に飛び乗って(笑)。思い返すと、結構裁量を持っていろいろな決定をさせてもらえてたと思う。
若手社員
僕も同じエンジニアとして、そんな経験をしてみたいです。
CEO
歴史や宗教、社会システム、価値観の異なる「人」と触れ合うことで、自分だけの思考では気づけないことに気づけるヒントがもらえると思う。
若手社員
世界が広がりそうですね。
CEO
うちの会社は、10数カ国に工場があるし、経験しようと思ったらできることは多いと思う。コロナが落ち着いてきたら、みんなで考えてやりましょうか。予算つけます!
若手社員
ぜひ、お願いします!
Panasonic ENERGYの社会的使命とは?
電気は、人間に不可欠なもの。
その安定供給に大きな責任を持つ。
若手社員
今回、パナソニック エナジーとしての「ミッション」「ビジョン」「ウィル」が新たに決まったと思うのですが…。
CEO
はい。
若手社員
あらためてPanasonic ENERGY社の“社会的使命”について教えてください。
CEO
いや、もう、本当にあのままです(笑)。
若手社員
(笑)。
CEO
例えば、もし今、電気がなくなったら生きていける?
若手社員
…全然イメージできないです。
CEO
だよね。電気はもはや、空気や水と同じくらい人間にとって不可欠な価値になっている。火を電気で起こしたり、お金を電子化したり。
若手社員
生活の多くが電気で回ってますね。
CEO
もし世界がブラックアウトしたら、ものすごく不便だし、混乱するし、争いが起きる可能性だってあるかもしれない。もはや社会のシステムは、ほぼ電気。
若手社員
おっしゃる通りです。
CEO
そんな中で僕たちの仕事は、“電気”という不可欠なエネルギーを、使いたい時に最適な形で使えるようにすること。つまり人々の夢や希望、安心、信頼なんかが、ぜんぶが僕らの事業に結びついている。そう考えると、とてつもなく大きな責任がある…と思いませんか?
若手社員
思います。
CEO
一方で、火力発電など「電気をつくる」という行為そのものが、安心の土台であるべき地球の環境や未来にダメージを与えている、という事実も自覚する必要があると思う。
若手社員
矛盾してますね…
CEO
そう。矛盾している。でも僕は逃げたくない。「幸せの追求と環境破壊」という大きな矛盾を、社会や世界においていかに調和させるか。難しい問題だけど、Panasonic ENERGYがミッション、ビジョン、ウィルを定義する理由はそこにあると思う。みなさんには同じ人類の一員として、この大いなる矛盾に抗う仲間であってほしい、と心から思いますね。
Panasonic ENERGY社の強み、将来性とは?
わが社の強みは「人」。
成長の先に価値は生まれる。
若手社員
ズバリPanasonic ENERGYの“強み”が知りたいです。
CEO
うちの強みは…あなた自身。
若手社員
…僕ですか?(笑)
CEO
そう、みなさん一人ひとり。つまり「人」です。結局、価値は「人」からしか生まれません。
若手社員
なるほど
CEO
したがって社長の役割としては、信じたみなさん一人ひとりの潜在能力をどれだけ解放できるか、に尽きると思う。会社が能力アップや再発見のきっかけを提供し、その成長を褒め合うような風土を作りたい。そうすればおのずと価値が生まれ、企業としての強みが育ってくると思います。
若手社員
つまり、僕自身にかかってるわけですね(笑)
CEO
そう。環境を整えたら、あとは「頼むで!」って、信じるだけ(笑)。
若手社員
がんばります、体力はあるので(笑)。
CEO
とにかくみなさんは自分を信じて、価値を生むことに対して真剣に向き合ってください。
若手社員
はい。
CEO
例えば自分のアイデアを実現したいと思ったら、周りの人にどれだけ共感してもらえるかを考えることはとても大事。共感の輪が大きいほど、成し遂げるゴールも大きくなるから。
若手社員
わかる気がします。
CEO
僕らだけが良い商品を作っても、世の中を変えることはできない。僕らの価値観に共感してくれるサプライヤーや取引先、商品を使うお客さまからの期待を、大きなひとつの渦に巻き込んでこそ、価値は大きくなっていく。そんな影響力のある人になってほしいと思います。
世界の競合メーカーにどうやって勝つ?
世界の進化の先頭に立つ。
次の未来を生み出し続ける。
若手社員
車載電池分野は世界中に競合がいますが…。どうすれば勝ち残れますか?
CEO
ズバッと来た(笑)。
若手社員
これだけは聞いておきたいと思ってました(笑)。
CEO
社会的使命のところでも言ったけど、車載電池分野は特に二酸化炭素削減に大きく影響を与えるので、僕らに課される責任は大きいし、当然リードしていく必要があると思っています。
若手社員
はい。
CEO
例えば、テスラ社の「モデル3」が登場したことで、世界中に「クルマの電動化」という希望が生まれました。その背景に、僕らの「2170」という環境負荷に優れた高性能電池の存在がなければ「モデル3」は生まれていません。
若手社員
そうですね。
CEO
「ロードスター」の時も「1865」という電池が大きな役割を果たした。つまり、車載電池分野の進化において、つねに世界で最も安心できるものを、パートナーと一緒に生み出しながら支えてきた歴史が、僕らにはある。
若手社員
本当に世界を変えるきっかけを、作ってきていると思います。そこに憧れて入社しました。
CEO
だから競合との勝ち筋という意味で言えば、今までと変わらずテクノロジーとものづくりで業界をリードし続け、パートナーと共に世の中に影響を与えるソリューションを、先陣を切って生み出し続けることに尽きると思う。社会全体に様々な影響を与え、普及させていく“コア”のような存在であり続ける。それが僕らの使命です。
若手社員
そういう意味では、今後リチウムイオン電池のリユースやリサイクルも大きな課題ですよね。
CEO
その通り。しかし、今それが十分にできているかと言われると、残念ながらできてない。“経済合理性”というジレンマがあるからです。
若手社員
リサイクルするより作ったほうが安い、ということですね。
CEO
そう。ここでもやはり「守るべき自然環境を自らが壊す」という大きな矛盾に直面します。でもリユースやリサイクルという課題を電池メーカーとして無視できるはずがない。作るだけでなく、使い続けられるようにすること。僕らが将来にわたって本気でやらなければいけない、もうひとつの仕事だと思います。
仕事の心構えと1日のスケジュールは?
その日、その場で即断即決。
自分の働き方は、自分で見つけるもの。
若手社員
最後に、只信さんの仕事への心構えと、1日のスケジュールをお聞きしたいです。
CEO
スケジュールは…秘書のみぞ知る(笑)。
若手社員
(笑)
CEO
決まったスケジュールがあっても、その日でコロコロ変わるんです(笑)。世の中の変化に合わせて、会社への要求や課題、解決方法は日々、刻々と変わってくるから。つまりそれだけスピードが速いってこと。
若手社員
なるほど。
CEO
だから僕のポリシーは「即断即決」です。できるだけその場で、自分の中にある最適解を答えるようにしてますね。実際、僕が本社の経営企画部長だった時のスケジュールは15分刻みだったし。
若手社員
すごいですね…。
CEO
普段から1つの物事に対して、世の中はどう動いているか、誰が何を考えているか、など5~6のソースからインプットしておきながら、あらかじめ仮説を持つようにしています。
若手社員
普段からシミュレーションしておくということですね。
CEO
そう。で、話が来たときは、すでにいくつかの答えがある状態だから、「じゃあ、コレ!」と選ぶような感じ。毎日あみだくじを引いている感覚かも(笑)。
若手社員
はぁ…。そんな境地に至るには、若いときに何を意識しておけばいいでしょうか…?
CEO
まぁ、最初に言いたいのは、僕のやり方と言うより、自分の最適な方法を自分で見つけなさい、ということ。
若手社員
自分に合った方法…ですか。
CEO
そう。僕も1つの事例にすぎない。自分の働き方は今すぐ見つかるわけもなくて、5年、10年かけて模索する中で見つけるのがいいと思う。僕も、若い頃はガムシャラだったし(笑)。
若手社員
只信さんでも、ですか?
CEO
もう失敗の連続。いろんな人にご迷惑をかけ、助けてもらった経験があるからこそ、今の僕がある。でもゴールが「商品を作りたい」ではなく、「世の中を変えたい」だったから、諦めずにやれたんだと思う。
若手社員
なるほど。
CEO
だから、若いときはまずは本気でやること。そのためのチャンスや気づきのきっかけは惜しみなく与えていきたいと思うので。
…じゃあ今日はこのあたりで。ひとまずコロナが落ち着いたら、新入社員を集めて宴会でもやりましょう!ここじゃ言えない話が、まだまだあるんで(笑)。
若手社員
ぜひ!お願いします。今日はありがとうございました。