議論の末、Missionは
『幸せの追求と持続可能な環境が、
⽭盾なく調和した社会の実現』に決まった。
しかし…とメンバーは思う。
「私たちは“持続可能な環境”や“調和”の
本質的な意味を理解しているのだろうか?
耳障りの良い机上の空論に
過ぎないのではないか…」
そんな時、只信から提案があった。
「会議室を出て、現場に⾏ってみてはどうだろう」
メンバーは太古の原⽣林が広がる
岡⼭県⻄粟倉村へ向かった。
そこで地域のローカルベンチャーを⽀援する
牧⼤介⽒に出会う。
森のプロフェッショナルである彼は、
原⽣林を歩きながらたくさんの話をしてくれた。
動物、⿃、⾍、⿂、⽊、葉、草、花、菌、
そして人。
多種多様な生物が
豊かに調和する世界に身を委ねながら、
いまいちど心の中でMissionを唱えた時、
メンバー全員が直感的にひとつのことを理解した。
「この森を奪うことは、多くの命を奪うことだ」
牧⽒は語る。
「⽊々は菌を通して地⾯の下で会話しています。
例えば、ある⽊が害⾍に襲われたとします。
するとその木が菌⽷を通じて
周囲の木に害虫の存在を知らせ、
信号を受け取った木は防御物質を発して
身を守ることができる。
生き延びた木は、
⿃や動物たちの餌となる葉や実をつけ、
枯れてしまっても、
昆⾍や微⽣物たちを⽣かす栄養になる。
この様に森全体がつながり、
互いに助け合って⽣きているのです」
…まさに私たちがめざす“調和”そのもの。
各メンバーともこれまでの仕事において、
⼈々の幸せを追求してきた誇りと⾃負があった。
しかしこれからの時代、それだけでは足りない。
つくるべきものはつくりながら、
環境をあるべき姿に戻していかなければならない。
あらゆる⽣命が豊かに、
いきいきと⽣き続けている森には、
持続可能性や多様性、共⽣、循環といった
未来に不可欠なキーワードが
“矛盾なく”共存していた。
森での“出張会議”はそれから何度も続いた。
自然散策やキャンプをしながら考え、
時に焚火を囲みながら重ねた議論は、
会議室や⼯場では得られることのない
貴重な経験だった。
1⼈ひとりが今までの仕事を見つめ直したり、
発⾒や刺激と出会う最高の機会となった。
(途中、感極まって涙する者もいた)
「この経験を、全社員にしてほしい」
「森という“めざす理想形”に包まれながら、
自分の将来を、会社の未来を語り合ってほしい」
そんな思いから『森の会議』は生まれた。
四半期に⼀度、
少⼈数に分けて全社員が参加する
パナソニック エナジーの
ユニークな取り組みのひとつである。